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ブログ・お知らせ

17 鉄道員(ぽっぽや)②―(浅田次郎作)

2018.09.25

深夜のことだ。中学生に,seem,見える女の子がガラス窓を,tap,叩いた。先ほどの小さな子の姉で、treasure,宝物の人形を取りに来たという。起こしたことを,bow,おじぎして詫びるその子に乙末は温かい缶コーヒーを,treat,ごちそうした。女の子はお寺の佐藤さんの孫らしい。暗い,corridor,廊下の,edge,端にあるトイレに行くのを,scared,怖がる女の子の姿に、乙末は雪子を思い出した。
  風邪さえひかせなければ、雪子もこのような,manner,方法で、毎晩自分を連れていかせただろう。医者の,diagnosis,診断さえ受けられない,isolate,隔離された場所に生まれたばかりに死なせたという,guilty,罪悪感が,constant,絶えず乙末に,obsess,つきまとっていた。女の子はコーヒーを飲み終えると、外に走った。乙末は,trace,追跡するが、姿はない。しかも、どこかで見た気がするあの人形も忘れて…。
  翌日の夕方であった。Duty,勤務を終え,yawn,あくびする乙末の元へ、nowadays,この頃,rare,稀な制服を着た女子高校生が妹の人形を取りに来た。乙末はこの子に温かいおしるこをふるまった。女の子はお返しにと、dish,料理を乙末に作った。鉄道ファンだと言う女の子に乙末は自らの,biography,伝記を語った。心が,crush,押しつぶされるような,pain,痛みを感じたのは学校を,graduate,卒業した子達が就職で村を離れていく時だ。しかし、駅長の自分は泣くわけにはいかないのだった。
  女の子は乙末の半生の思い出話を,bore,飽きることなしに聞き続けた。乙末は不思議な感覚にとらわれた。一つ一つの思い出をする度に、心が軽くなるのだ。Soul,魂が救われるというか。やがて乙末はこの子がずっと,hide,隠してきた,identity,正体に気づいた。そして「お前が死ぬ時に会えなくて悪かったな」と涙で詫びた。「それがぽっぽ屋の仕事でしょう。全然平気だったから」と雪子は父をかばった。これまでの苦労多き人生の中で最も幸福な一晩を過ごしたその翌日、ホームに倒れた乙末の,calm,穏やかな顔に、しんしんと雪が降り積もった。

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