石田さん(東京都板橋区)のメール
2018.08.30
古波蔵さん 私は留学については賛成です。言葉だけなら日本にいても学べるかもしれませんが、文化を学ぶならそこへ行かなくては本当のことはわからないと思います。この点どうお考えでしょうか?
お答えします。文化を学ぶとのことですが、どの国の文化を学ぶのでしょうか。英語圏の国にはイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージ-ランドなどいろいろありますが、もちろんそれぞれが異なる文化を持っているはずです。この中から例えばイギリスに決めて留学したとしましょう。 それでイギリスの文化は学べたかもしれませんが、残りの国の文化は学んでいない訳ですよね?全体の中の一部しか学んでいないわけです。不十分でしょう?ではこれらの国すべてに行くべきでしょうか。よほどの留学オタクはともかく、そんなお金と暇のある人はいないはずです。 そうすると、文化を学ぶとは言ってもそれはごく一部に過ぎないわけでそれを学んだからといって大勢に影響はないでしょう。別の項でも再三言ってきたように、日本人は日本のことを知らず、日本のことをよその国の人にきちんと紹介できないという世界でもまれな国民です。まずはそこを学んでからの話ではないでしょうか。
そして、日本を英語で世界に発信できる国際人になるべきでしょう。日本のことを学ぼうとはしないで英語圏の人の習慣、文化を吸収しようとするどっちつかずの国籍不明人になるのではなしに。最近どっかの業界の作戦でハローウィンが日本でも多少流行ってきたそうですが、感心しません。 ただし、留学がいい場合ももちろんあります。知人でドイツに留学した城さん(熊本出身)という方がいます。城さんはドイツ語は母国語並みだそうですが英語はあまり出来ないそうです。それでも1級に受かったのですが…。英語を話していて意味がわからないことが時々あり、何だろうと思っていると実はドイツ語だったり…。やはり世の中にはすごい人がいるものだと、英語しか出来ない私は無条件に尊敬していまいます。
それはともかく、城さんがドイツに行ったのは当時日本中で安保闘争が起きていたからで、それに嫌気がさしてのことだそうです。城さんの場合は本当に勉強に行ったのでしょう。でなければ、あの難しい(あくまでうわさだが)ドイツ語が母国語並みになるわけはありません。 そしてそれを生かしてドイツを初めとする欧州の環境系の機械を日本へ導入する仕事に携わり(役員)、年がら年中行き来しているのですから、留学した価値は十分にあったわけで、国益にも大いに貢献しています。 このような本当の留学なら私は大いに賛成です。大変だとは思いますが、こういう方々ががんばっているおかげで資源小国、政治小国の日本がそれなりの国際的地位にあるわけですから。このように高い志を持った人だけが留学するべきだと思います。