続き
2018.06.10
NHKビジネス英会話講師の杉田敏先生も一度トーイックを受けたことがあるという話を会員から聞きました。「みんながトーイック、トーイックと言うから受けてみたら問題があまりにも多すぎて疲れてきて最後の問題一問、間違えた」そうです。しかし、そもそもこれは体力ではなく、英語力の問題のはずです。今のままでは体力のある若者に有利で、フェアではないと思いますので、ぜひ試験時間を短縮していただきたいと思います。
もういっこおまけ。試験間隔が短すぎること。回数は多いほうが少ないよりもいいのでしょうが、多すぎると問題が生じてきます。それは地力がつきにくいことです。スポーツと似ています。もし、試合ばかりしていたらどうなのでしょうか。短期的にはいいと思います。実戦テクニックがついて。 しかしスポーツには基礎であるとか、体力であるとか、そういうもののほうが本来重要です。試合ばっかりではこういうことをじっくりと鍛える時間が取れないでしょう。トーイックもこれと似ています。英検ではテクニックはあまり関係ないのですが、トーイックでは点を取るためのテクニックが英検と比べてあり、これによってスコアがかなり違うという面があります。2ヶ月という短期間でもう次の試験があるのでは、この試験テクニックを身につける学習法になりがちです。これでは、語学学習に必要な「地力を鍛える」機会が少なくなります。 英語学習者のことを考えるのであれば、今の年間受験回数を3ヶ月ごとあるいは4ヶ月ごとに実施してほしいと思います。その点、英検の受験回数年3回は適度な頻度だと思います。
B この試験を目的化しないこと
この試験は900点を超えれば、もうそれで十分だと思います。トーイックのスコアを1点でも上げることに血眼になる人がいて「950取りたい、満点取るまで受ける」なんていう人がいるそうですが、感心できません。トーイックを運営する団体も言うように、何十点のスコアの差は誤差の範囲であって、実力の差ではありません。 したがって満点の人の本当の英語の実力が900点の人より上とは限りませんし、すでに指摘したように(どの試験でもそうですが)慣れやテクニックで点数が変わってくるわけですから、気にする必要はありません。700と900では明らかに実力に違いはありますが(これはあくまでリスニングとリーディング)、900を超えればスコアの差は本当の英語の実力の差を表すわけではありません。ずっとこの試験の勉強をすれば、本当の英語力は伸びなくても、慣れでいずれ満点取れるでしょう。
仲間にはトーイックのスコアが高い人が多く、950はざらです。満点も3人います。そういう人を何人も見ているので断言しますが、トーイックのスコアがどんなに高くても高度な英語力があるかどうかはわかりません。読解力についてはもう説明しましたので最も大事なスピーキング力を見てみましょう。
C トーイックではスピーキング力は絶対にわからない
この本を書いているのは平成19年12月でまだTOEICのスピーキング試験が始まっていませんので、これから書くことはこれまでのこととまずご理解下さい。TOEIC満点の人も仲間にいると言いました。そういう人と何年もスピーキングの練習をしているわけですが、TOEICではスピーキング力は絶対にわからないなと痛感しました。