トーイックについて
2018.05.30
A 試験に対する考察
まずいい点はリスニングの比重が高いことです。半分ですよね。英検は一番高い1級でも33パーセント程度です。下の級はもっと低いのです。今の割合ではリスニング苦手でも1級1次試験に受かることが可能です。現にそういう人をこれまでたくさん見てきました。そういう人とスピーキングの練習をするとこちらの言うことが聞き取れないということがままあるのです。
その点、TOEICはリスニングできないといいスコアが出ないので、リスニングの動機付けにはいいと思います。では今度は問題点。一番大きいのは読解問題が簡単すぎることです。せいぜい準1級程度で、これではとても新聞を読めるかどうかはわかりません。英語学習のひとつの目標として英字新聞が読めるということがあると思います。
しかし、今のレベルではこの能力は一切わかりません。英検を批判する人たちにぜひやってもらいたいのが1級の読解問題と単語問題です。これができるかどうか。1級の読解問題、単語問題は英字新聞の社説(例えばワシントンポストあたり)が読めるかどうかを見ています。
通常の新聞記事というのは単に事実の羅列であり、単語さえ調べれば意味がわからないことはまずありえません。何しろ、わかってもらうのがニュースなのですから(ただし、英字新聞に出てくる単語は情け容赦がなく、トーイックに出る単語ではまったく対応ができません)。 ところが,英字新聞の論説文は内容的に込み入ったものが多く、日本語訳を読んでもわからない人はわからないほどです。それを英語で読めるかどうか。この位のレベルの読解力が1級では試されます。従って、1級を目標に勉強していれば英字新聞は読めるようになるはずだが、トーイックではそうならない、これがトーイックの最大の問題点であると考えます。
もうひとつ。疲れること(笑)。大体何でこんなに問題数が多く拘束時間が長いのか理解に苦しみます。いや本当はわかっています。それはいろいろなレベルの人が受けるのでいろいろなレベルの問題を含めねばならず、必然的に問題数が多く、時間が長くなるということです。繰り返しになりますが、ばらばらのレベルの受験者を一箇所に集めて試験をするというのがそもそも乱暴なのです。