杉野さんがなぜ翻訳できるのか?
2018.05.12
杉野さんという友人がいます。第3世界の研究を専門とする学者で東京大学東洋大学文化研究所などで講師をしています。また筑波書房から「インド製糖協同組合の発展と思想」という大変興味深い本も出されています。ぜひお読み下さい。その杉野さんは今年から翻訳も手がけるようになったそうです。ただしそれまで翻訳の経験はまったくありません。また翻訳学校などで翻訳を学んだということもありません。この1年で相当な数の翻訳をこなしています。私も一度、原文の英文とその訳を見せてもらったことがあります。内容は地球環境などで専門用語も出てくる相当難解なものです。
しかし、これをものの見事に翻訳しているのです。専門用語についてはいろいろ調べてそれで理解したうえで翻訳しているそうです。しかし、不思議な気がします。翻訳の訓練も積んでないのに翻訳できるということが。もし、翻訳の訓練をしなくても翻訳できるのであれば、翻訳の学校へ行く必要はないことになります。大体この手の学校の授業料は高めで、勉強仲間の鈴木さんなどは特許系翻訳の学校の通信講座を30万出して受講したそうです。本人は「それだけの値打ちはあった」というのですが本当に元が取れるのでしょうか。この手の講座は必要なのでしょうか。
そう言えば、作家が翻訳を手がけることが結構ありますが、彼らは翻訳の訓練を積んでから、翻訳を始めたのでしょうか。もしそうでないとしたら、なぜ翻訳できるのでしょうか。そう言えば杉野さんもいきなり翻訳が出来たわけですが…。そろそろ、答えを言いましょう。翻訳は特別な訓練をしなくても、英語と日本語、そしてもちろん対象となる内容についての知識があれば出来ます。逆に翻訳学校へ行っても出来ない人はできません。もっと言うと翻訳学校へ行こうという考え自体が間違っています。習わないと出来ない、というようなレベルではとても翻訳は務まりません。習ってどうなるような甘いものではなく、自力で学んでいくものです。翻訳の現場にいる人からの話をあとでご紹介しましょう。