語彙の誤り
2018.04.19
②語彙の誤り
問題はないでしょう。赤線を引いて正しい単語、語句を指摘すればいいだけですから、ネイティブでもノンネイティブでもさほど変わらないでしょう。
③文法の誤り
A ネイティブは文法を知らない
これについてはスピーキング篇で解説したとおりです
B 英語で文法説明されてもわからない
ほとんどの人は英文法を英語ではなく日本語で習ったはずです。そうでないとわからないからです。文法というのはわかりにくいものです(日本語の文法は英語の文法より難しい)。日本語で説明されてもわかりにくい英文法をわざわざ英語で理解しようとする人はいないでしょう。
添削するネイティブが文法をきちんと勉強して説明できるとしても英語でしか説明できないのですから、それを読んでも理解できないはずです。もしそれが理解できるなら、相当な英語力の持ち主でそもそも添削を受けていないはずです。ですから、英文法は日本語で説明するに限るのです。
どうでしょうか。このように「英作文の添削はネイティブがベスト」というのは大間違いなのです。次に英語も日本語もきちんと勉強した人が添削するとどうなるか、ご覧下さい。これまでの考えが大きく変わるはずです。
英作文添削サンプル
Building good characters in children
These days, there are a lot of problems on children, like with-draw from society or easily lose self-control. Building good cha-racters in children is very important issue. I’d like to talk abouthow.
The first is to cultivate sensibility. When I was a child, my parents often took me to many places like museum, zoo, parks and mountains. Also we went out to enjoy cherry blossoms in spring,new green leaves in early summer and beautiful colorful leaves inautumn. I think that important is to get in touch with the nature or arts and have a lot of opportunities to be impressed by them.
The second is to develop communication ability. To keep good
relationship with others, the communication is very important.
These days, most is the nuclear family and also even in a houseand during dinner, some persons communicate by e-mail. Lackof communication skill causes the withdrawal.I think communication ability is required to enjoy the relationship with others. My sister, who works as a nursery school teacher, takes her child to many places and gave her a lot of chances to meet peo-ple of variety ages. So she can communicate well with others and get much information from many people.
In conclusion, to cultivate sensibility and develop communication ability builds good characters in children.
添削
1段落 like withdraw from society 前置詞 (like) の後なので動名詞にします。
or easily lose self-control 同様にここも前置詞 (like) とつながっているので動名詞にする必要があります
problems on children,
↑ ↑
like (withdrawing from society) or (easily losing self-control.)
カッコ内の動名詞2つが前置詞 like を介して名詞 problems を修飾しています。
2行目
A この頃では自制心の欠如や引きこもりなどの問題を持った子供が多いです。
B好ましい性格を築き上げるのが非常に重要な問題となっています。
この二つの文はつながりません。無関係だからです。こうやって日本語に訳すとおかしいと気づきます。気づかないなら、日本語力が低いことを意味します。日本語で気づくことが英語以前に重要だ、国語の力が重要だとはこういうことなのです。この場合は、次のようにしたほうがいいでしょう。
There are a lot of problems on children, like withdrawing from society or easily losing self-control. Not to cause such problems,mental education for children is an important issue.
A この頃では自制心の欠如や引きこもりなどの問題を持った子供が多いです。
B こういう問題が起きないためには心の教育が重要です。
どうでしょうか。これが論理(話の流れ)なのです。
2段落4行
I think(that important is to get in touch with …)
that節の中での主語はimportant ですが、これは形容詞なのでこのままでは主語になれません。主語になれる名詞にする必要があります。
→ the important thing またはwhat’s important
自然も芸術も両方必要でしょうから orでなくand の方がいいでしょう。
3段落3行目。「ほとんどは核家族です」 おかしい。正しくは「ほとんどの家族は核家族」です。→ Most families are nuclear ones oneはもちろん、familiesの繰り返しを防ぐための代名詞です。
また、もっといえばコミュニケーションの不足と核家族は何の関係もないことです。(私の生家も核家族でしたがよく話をしましたよ)。関係の無いことをこうして持ってくると論理がわかる読み手には「何でこれがあるんだろう?関係ないのに」と思われます。この箇所は削除!以下修正例
These days, people don’t talk a lot at home. Even during dinner,some persons use e-mail without communicating [talking] with other family members.
and gave her a lot of chances to meet people of variety ages.
あとの名詞 (ages) を修飾するわけですからここは形容詞にする必要があります。variableでは変です。different ages でいいでしょう
最終文
In conclusion は論説文で使われることはまずありません。あまりにも型にはまりすぎで、読み手が飽きてしまうからです。わざわざ「結論は」と言わないでも「上手に締めくくる」事によって論を結びましょう。以下修正例
If parents are committed to cultivating children’s sensibility anddeveloping their communication ability, they will grow healthy and
become good citizens in the society.
このような添削を続けていけば、英作文は上達します。ただネイティブだというだけでは文法がわからないので、説明できないし、論理がわからなければ(論理の説明ができる人は少ない)その説明もできません。具体的な統計数字はわかりませんが、文法がわかっていて、かつ論理の説明ができる英語ネイティブは何千人に一人のはずです。
この数字は例によって「逆に考えて」、日本語の文法がわかり、かつきちんとした文章が書ける、説明できる日本語のネイティブ(すなわち日本人)がどれくらいいるかから類推しました。皆さんはどうでしょうか?できるでしょうか?私自身は論理はわかっても、日本語の文法がわかりません(したがって、外国人の書いた和文をこういう風に添削はできない)。
こういう人(日本語の文法がわかり、作文も上手い)日本人は本当に少ないはずです。100人に1人もいないでしょう。おそらく1000人2000人に一人くらいだと思います。そうすると、同様に「英語の文法がわかって、作文も上手い」英語ネイティブも1000人2000人に一人くらいになるはずです。ネイティブが添削するという商売がありますが、これが例外なく高いのです。
ネイティブという言葉に普通の日本人は弱いので高いお金でもありがたく、払う人が多いのがその理由です。しかし、今検証したように、高いお金を払って添削してもらっているそのネイティブが「英語の文法がわかって、作文も上手い」ネイティブである確率は1,000~2000分の1ということになります。
さて、英文法や論理をきちんと理解しているネイティブがこの文章を添削したとしたらどうでしょうか。もちろん、ここで説明したようなことを説明できるはずです(ちなみに私も上の添削説明を英語で出来ますが)。しかしネイティブはモノリンガルなのですから、それは当然英語で書いてあるはずです。
書いてある内容が同じならどちらが添削を受ける側にとって、いいのでしょ
うか。それは当然日本語のはずです。英語なら書いてあることがわからないという事態すら生じえます。どうでしょうか?英作文の添削はネイティブに限るというこの業界の常識が実はそうではなかったことがお分かりいただけたことでしょう。ネイティブに英作文の指導、添削を頼むのは賢明な選択ではありません。英語も日本語も出来る人に頼むのが一番です。ただ、これが出来るのはそう多くないのも事実です。「英検1級に受かった」くらいのレベルではできません(実は上の文章は1級合格者のものです)。ジャパンタイムズやデイリーヨミウリ、NHK英語ニュースなどで英字新聞の記事を書く英文ライターならこういうことができるでしょう。
しかし、このレベルの人は本当に少なく、ほとんどの人は「英作文の添削は実力ある日本人に限る」という事実を知らないので、高いお金を取られる「ネイティブ添削」に走ってしまうのです。非常に残念です。正しい英語学習法が日本に定着して日本人の英語レベルがもっと上がって経済効率、学習効率の悪いネイティブ添削に走る人がいなくなる日の到来を私は待ち望んでいます。がんばろう、日本人英語講師!
英検大学受験英語スピーキング教室