沖縄の未来② 大学受験英検英語教室
2018.04.01
さて、ここからやっとタイトルと直接関係する話に入ります。沖縄の未来についてです。前回で私が子供のころの沖縄は相当な田舎だったことを記しました。今現在を見ると、当時100万だった人口が140万を数え、まだ増える気配を見せています。ほとんど存在ししなかった塾も石を投げれば塾に当たるほどですし、まちやと呼ばれた駄菓子はなくなり、高校時には噂でしか知らなかったコンビニも数十メートルおきにあります。高校時代にやった郵便局での正月バイト代は自給二百数十円が今では800円以上になっています。
新聞の求人欄に数行しかなかった求人も今では専門の求人誌が数冊もあり、とりあえずはバイトで食いつなぐことができそうです(当時はバイトすらなかった)。米軍住宅だった天久地区には立派な邸宅が立ち並び、メインプレイスには週末、万単位の人で賑わっています。観光客も大幅な増加を示し、群馬の桐生(もまた観光地です)に住んでいる知人がどこに行っても観光客だらけなのを見て驚嘆したほどです。塾・予備校が乱立(と言っては天に唾吐く行為か)し、そのおかげかどうかはわかりませんが、数年に一人程度だった東大合格者は今では毎年10名ほど受かるようになりました。
このように思いつくまま、書き記したように、沖縄はかつてと比べて住みやすい場所になっているという感想を私は持っています。問題はこれから数十年後の沖縄です。どうなっているのでしょうか。根っからの沖縄人である私は当然、沖縄が良くなることを強く望んでいます。ただ、何もしないでは当然よくありません。何らかのアクションが不可欠です。それが何なのかを提示する前に沖縄の問題点を考えてみましょう。
経済に関しての沖縄の弱点は大規模な製造業がほとんどないことです。全国的に見て製造業が盛んな地域の所得が高いことが知られていますので、経済的にはマイナス要因といえます。しかし、これは本土から遠く離れた小さな島であるゆえの不可避な結果(別に沖縄がサボっているわけではない)であると言えるでしょうし、観光業にとっての資源である自然を残しやすいという逆説的な利点もあるでしょう。農業に関しても耕作面積の制約上、本土へ大量に出荷して大きな収入を得ることはできません。林業水産業もしかり。こうなると残りは第3次産業です。現在のメイン産業である観光業は主な訪沖地域であるアジアの経済が上昇する限り、伸びるでしょう。しかし、経済には浮き沈みがつきものなので、アジア経済が低迷したときに、観光客が激減するというリスクを常にはらんでおり、過度に依存するのは危険と言えます。
では沖縄が経済的に豊かになり、政府からの補助金に頼ることの無い自立を果たすには、どうしたらいいのでしょうか。私の考える答(理想かもしれませんが)は学力の大幅な向上です。上述したように、地理的な条件、制約のために沖縄で農業や工業を発達させるのは無理があります。従って第3次産業をより活性化させる以外にありません。第3次といっても、それは物を売るということではなく、知恵を売る、技術を売るということです。例えば、コンピューターのソフトの開発であれば、どんな場所でもできます。これ以外にもバイオテクノロジー、遺伝子工学、ナノテクノロジーなどなど、研究開発の分野であれば“頭”さえあれば、やっていける可能性が高くあります。県内の学生のレベルが上がれば、こうした分野で沖縄が日本をリードすることは可能なはずです。琉球大学には後期日程があります。私の知る限り、本土の中堅以上のレベルの国公立大学の前期試験で失敗した受験生が、滑り止めで後期で琉球大に入ってくることが多いようです。恐らくこういうことを狙って大学は後期日程の枠を確保しているものと思います。
私は塾生に対して本土の国公立に行くことを勧めることが多いのですが、これは現在残念ながら琉球大のレベルが高くはなく、そうすると就職の際に選択肢が県内の企業、役所に限定されてきちんとしたところに就職できないというリスクがあるからです。県外の社会的な評価の高い大学であれば、県外でも県内でも就職しやすくなります。
話は変わりますが、秋田の国際教養大学をご存知でしょうか。これは公立大学で、元はなんとかいう地元の公立大だったのをある目的でもって、名称を変更してかつ組織を一変させたとのことです。その目的とは「高い学力を学生に身につけさせる」ということです。この大学は英語学科のみの単科大学です。校内は日本語禁止、1年間の海外留学が必須です。こうした変革をした結果、学生の学力は向上し、全国から受験生を集め、いまや一ツ橋大学と同じ程度の難易度の大学になっています。生徒の実用的な高い英語力が知れ渡り、商社などから即戦力として、採用されるくらいに就職に強い大学へと変身しました。単科大学ゆえのやりやすさというのはあったとは思いますが、大学が“変われる”ということを実証したいい例だと思います。